悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
僕が声を上げる前に、「ハァァァ?」と素っ頓狂な声を上げたのは……当然、竜崎と君島だ。
しばしの、お口アングリタイムを経て、数回深呼吸をした竜崎が、まず口を開く。
「――愛人って……セフレのこと……かしら?」
セフレェェェ!
落ち着こう、と渋茶を一口含んだ瞬間だった。ぶっ飛んだ言葉に、ブハッと思いっ切りそれを噴き出す。
だが、流石、僕だ。
パソコンに向かって、じゃなく、君島に向かって噴き出した。
「わっ、課長、何をするんですか!」
「やだ、恭吾さん、大丈夫ですか!」
女は、素早くポケットからハンカチを取り出すと……君島は完全無視。僕の口をポンポンと拭う。
「アー、酷い! 僕の方が被害大なのに」
キャンキャン文句を言う君島を盗み見、しばし、小さな優越感に浸る。
「もう!」と、君島はデスクのティッシュボックスから、ティッシュを二枚引き抜き、丁寧に濡れた個所を拭い、「で、愛人って何ですか?」とめげずに訊く。
そうだ! それだ! 愛人って何だ!