悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
05 断念:もう、貴方の嫁は諦めます!

街が赤や緑のイルミネーションに彩られ、クリスマスソングに包まれて、やっと年末間近だと気付く。

来る日も来る日も、仕事一色。怒涛の日々だったのも頷ける。
今年度、最後の追い込みだったようだ。

そう言えば、最近、あの女の姿も見ていないし、竜崎も君島も絡んでこない。
皆、多忙なのだろう。

何て平和なのだろう。
これこそが、本来あるべき我が日常だ。

平和な世界に乾杯! と心の中でシャンパングラスを掲げ、滑るような手さばきでパソコンを操作していると……。

聞き覚えのある、嫌な電子音が、オフィスのあちこちから一斉に鳴り響く。
この音は……企画部から届くメールの受信音。

途端に、いつもの如く、キャーだのワァだの、よく分からない歓声が上がる。

またか、と溜息まじりにメールを開くと……案の定。

『帝(MIKADO)本社諸君に告ぐ。第四回シークレットパーティー開催! 【日時】十二月二十五日(金)午後六時~午後九時。【場所】グランドステイKOGO鳳凰の間。【ドレスコード】クリスマス ※参加不参加返信必須』

二十五日……って明日。
ーーで、ドレスコード、クリスマス……ってまんまじゃないか!

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