悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ

「クリスマスと言えば!」
「サンタ、トナカイ、モミの木、プレゼント!」

平和な日々は、突如終わったようだ。
竜崎と君島が、掛け合い漫才のような会話をしながらデスクの前に立つ。

「赤、緑、キラキラ……課長、他に何が思い浮かびます?」

知るか! そういうものに全く関心なし、無縁で生きてきた。

「あっ、あとケーキだ!」

君島が自分で答える。

「それに、ローストターキー、ローストビーフ、プディング、シュトーレン、ジンジャーブレッド……」

竜崎、眼の輝きが尋常じゃないぞ。
そう言えば、こいつ、痩せの大食いだった。

「竜崎課長、論点ズレています。ドレスコードです」
「あら、そうだったわね」

ほほほ、と笑って誤魔化しているが、脳内では、飲めや歌えの大騒ぎが繰り広げられているに違いない。

「君島、仕事は終わったのか?」
「当たり前じゃありませんか!」

自信満々に答えるが、その自信が怖い。
だが、今回ばかりは、本当だった。
奇跡だ……信じたくないが、これもクリスマスのなせる技か?

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