悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ

妹よ、どうして君がこんな衣装をを持っているのだ?
首を捻っていると、いきなりギロリと睨まれる。

「申し上げておきますが、私にそんな趣味はございません!」

そんなとはどんな?

「悪いが僕もトナカイになる趣味はない。他のアイディアはないだろうか?」

やれやれ、というように、百合子はあからさまに大きな溜息を付き、無言でリビングを出て行く。

見捨てられた? と思っていたら、しばらくするとボロボロの布? の塊を持って現れた。

この色、この模様、見覚えがある。
これは、まさか、お気に入りの……あの服?

なんてことをしてくれるんだ! と泣きそうになるが、グッと堪え、とにかく先の問題を解決すべく尋ねる。

「ーー百合子、これはなんだろう? ドレスコードはクリスマスなのだが……」
「だから、これなんじゃない」

分からん。意味不明だ。

「かの有名な、懐かしのダイ・ハード2じゃない!」

ブルース・ウィリス主演のあの映画か。
確か、ジョン・マクレーン という刑事が、ド派手なアクションで事件を次々に解決するという……シリーズものだったな。

嗚呼、そうだった。百合子はアクション映画が大好きだった。

そのジョン・マクレーン になれというのか?
いやいや、僕がこれを着たら、ただの浮浪者だ。
その前にホテルを追い出される。否、入れない。

ん? 入れない? ピンと閃く。

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