悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ

ホテルに入れないなら、仕方がない、帰る他ない。
よし、これでいこう! 完璧な作戦だ。

ーーと思ったのだが……。
何故だ、何故、「いらっしゃいませ」と明るく通すのだ、ドアマン!

映画を五回見直し、徹底的にジョン・マクレーン を研究し、血のりまで付けてボロボロ感を再現したのに……。

会場に入ると、「おっ、ダイ・ハードだな」と言われる。
もしかしたら、研究熱心が仇になった?

「やだ、そういう格好が違和感なく似合うって、流石、ゴミ男ね」

その声は、桔梗。
振り向いた途端、目が点になる。

頭の先から足の先まで真っ白。

「幽霊?」
「相変わらず失礼ね! 分からない? スノーウーマンじゃない」

どうやら、スノーマンに対抗しているらしい。
雪だるまにまで……男嫌いもここまでくると……ヒシヒシと責任を感じる。

「恭吾さん……」

精霊だ。

シャンパンゴールドのフワフワロングドレスに、天使の羽よりふた回り大きな羽を付けた女が、飛ぶように駆けてくる。

「まぁ! 遥香ぁぁ、何て可愛いの!」
「あっ、桔梗さん!」

ナヌ? いつの間に知り合いになったのだ。

「クリスマス・キャロルをベースにした映画『三人のゴースト』に出てくるドSな妖精、現代のゴーストです。桔梗さんは……雪女?」

「ピーンポーン、大当たり!」

ハァ! さっきと答えが違っているではないか!

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