悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
「恭吾さんは……悪い魔女に魔法をかけられ、浮浪者になっちゃった王子様?」
何処からくるのだろう、その発想。
「大丈夫です。私は妖精です。元に戻してあげます」
それ、無理だから。
「遥香ちゃん、何しているの、三人揃わないと様にならないでしょう」
ギョッと二歩後退する。
「やだぁ、竜崎さん、それ怖いです」
ケラケラ笑いながら、桔梗は竜崎の周りを一周する。
「でも、完璧な、未来のゴースト、ですね」
「でしょう。映画を五回も観ちゃった」
同じ人種……何となく嫌だ。
「それにしても今回は皆、破茶滅茶ですね」
「今年、最後だからじゃない」
確かに! クリスマスというドレスコードなのに、フランケンシュタインはいるし、吸血鬼はいるし、マリリンモンロー? 訳の分からん奴ばかりだ。
「あっ、いたいた! 探しましたよ」
君島だ。タクシーの運転手? 滅茶苦茶まともに見える。
「あら、過去のゴーストね」
「ーーきっ綺麗……」
桔梗の前で君島が立ち尽くす。