悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
「当たり前じゃない。貴方も、可愛いわよ」
嘘だ、桔梗が男を褒めた。
「桔梗、大丈夫? 熱でもあるんじゃない」
竜崎の言葉に激しく同意だ。
「うーん、彼は大丈夫みたい。中性的だからかな?」
「意味分かりませんが、なら、僕とお付き合いして下さい」
そうか、君島は桔梗が男嫌いということを知らないのだな、と思いながらウンウン頷き、ん? お付き合い? と君島を見る。
「いいわよ。嫌悪を抱かない男性って貴重ですもの」
エッ、いいのか? レズビアンじゃなかったのか? 付き合いって、そんな軽いものなのか?
「なになに、新カップル誕生? キャッ、めでたい! 乾杯しましょう」
竜崎が素早く、トレーを持ったボーイを呼び止める。
未だ、事態を飲み込めずにいるが、どうやら奇跡が起こったらしい。
とにかく母に報告しなくては、と思い電話をする。
案の定だ。
僕以上に責任を感じていた母が電話の向こうで咽び泣く。
それにしても……男女の縁は予想不可能、奇怪だ。
シャンパンをチビリチビリ飲んでいると、横に女が立つ。