きっと今夜は雨・・・
 そして、夜。

 電話がかかってきても、何を話せばいいのだろう。

 何も知らないときの自分には戻れないことはわかっている。

 しかし、11時を過ぎても、かかっては来なかった。

 あきらめて眠りに付いた。



 深夜2時、電話のベルが鳴る。

(取ってはダメ!)

 警告する声が頭の中に響く。

 取らないほうがいい電話だとわかっている。

 その電話は彼からのはずだから。

 今はまだ、話をしないほうがいい。

 揺れ動くままの気持ちで会ったとしても、何の意味もない。

 鳴り続く電話のベル。

 やがて、留守電に切り替わった。

『もしもし、俺だけど。こんな遅い時間になってごめん。もう寝ているよね。会って話したいことがある。また連絡する』

 暗い部屋の中、留守電のランプだけが点滅していた。



 土曜の朝。
 
 カーテンを開けると曇り空。

 点滅したままの留守電のランプ。

 内容はわかっているので、再生しないで消去した。
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