きっと今夜は雨・・・
 1週間。

 ゆっくり考える時間が欲しかった。

 その間に彼女もいろいろと行動に移すだろう。



 そして、運命の金曜日。

 帰り支度をしてロビーへと下り立つと、彼がいた。

「清水さーん」
 
 社長の娘はこの1週間、こうして彼を帰りに待ち伏せしていたようだ。

 会社内ではその話で持ちきりだった。

 もちろん、わざとわかるような行動を彼女がとっていたせいだろう。

「ごめんね。今晩はどうしてもはずせない用事があって、このまま帰らなくちゃいけないんだ」

「そうなんですか、わかりました。わがまま言うと嫌われちゃいますものね。時間が空いたら、連絡下さいね」

 そういうと彼女は去っていった。

 それを見送った彼が、私に合図を送った。

 手を受話器の形にして顔の横に持っていく。

 黙って頷き、私もその場を離れた。



 土曜日。

 先週と同じような曇り空だった。

 待ち合わせは10時。

 駅から離れてたところにある喫茶店。

 初めてのデートの待ち合わせをした場所だった。

 1週間。

 いろいろ考えた。

 考えても、答えは一つしか出てこなかった。
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