きっと今夜は雨・・・
 お昼休み。

「まだ、雨が降らないでよかったね」

 降り出しそうなグレーの雲は変わらないけれど。

 二人でパスタのお店に来ていた。

「彼の出張、いつまでだって?」

「今週末には帰ってくるみたいよ」

「で、どうするつもり?」

「まだ、決めていない。見られていたことに気が付いていないみたいだった。でも、それを問いただしたところで、どうにかなるかっていったら、ならないだろうね」

「そうか。ねえ、一つだけ確認しておくけれど、彼がもし、浮気でやっていることだったら、それでも許せる?」

「どうだろう。許す許さないの感覚じゃないと思う。それが浮気であっても本気であっても一緒。実はね、気づいていたの。少し前から、噂が立つよりもっと前から、お互いが向き合っていないことに」

「何か、原因があるの?」

「ううん。私のほうにはないけれど、ただ、何だろう。一緒にいて楽しいし、好きな気持ちが変わらないのは確かなのに、何かがずれている」

 一緒にいるときに感じる違和感。

 言葉ではあらわすことのできない何か。

「うーん。難しいね」

「そうだね。すぐには答えは出せないから、ゆっくり考えてみる」



 こういうときの週ほど1週間が長く感じるものなのだろうか。

 今日はまだ水曜日だった。
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