インタビューはくちづけの後で
「副社長、お話を聞かせてください。」と言うと、

「うん?取材の仕事を思い出したか?
まだ、副社長じゃないって言ったろ。」と私の瞳を覗く。

「あ、はい。えーと、あの…社長室で聞いた話ですが…」

「その質問は、まだ早いな。まず、俺自身に対する質問をしろ。」

「…では、『レインボートイ』で副社長として就任したら、どんな風に…」

「それもまだだ。」

何を聞いたら…私が困った顔をしたみたいで

「知り合ったばかりの男に、おまえは何を聞くんだ?」

「…好きな事とか?休日はどう過ごすのか…とかでしょうか?」

「趣味は読書と、乗馬だ。週末には乗りに行くぞ。一緒に行こう。芽衣は馬は好きか?」


「…馬ですか?ポニーみたいなものには観光地で乗ったことがあったでしょうか…」

…休日も密着ですか?とため息がでる。

「そうか、俺が教えてやる。サラブレッドは綺麗だぞ。優しい目をしているし、仲良くなると懐いてくれる。」

「わ、私も馬に乗るんですか?」

「馬は嫌いか?」とちょっとがっかりした顔を見せるので、

「い、いえ。乗ったことがないので…」

「きっと好きになる。気持ちがいいぞ。」と嬉しそうに微笑み、


「あとの質問は…数日休みが取れたら、ハワイだな。海辺でのんびりする。観光はしない。」

なるほど。
のんびりするためのハワイ。羨ましい。

「芽衣も一緒に行こう。芽衣が望むなら、もちろん観光してもいい。
圭介に長めに休みを取らせるように言っておくよ。」

はい?
普通、10月に休みはないですけど…?

私は週末の乗馬だけじゃなく、
海外旅行にも誘われてますか?

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