インタビューはくちづけの後で
私はテーブルについていても、もう、食事ができる状態ではない。

『妻』と『なんで？』が頭の中をぐるぐる回っている。

「食事が済んでから話すつもりだったんだが…悪かった。もう、食べられないよな。
この後のデザートは断ってコーヒーを頼んで、今日は送ろう。」と副社長は真面目な声を出した。

私は頷き、黙ったままで椅子に座り、
静かにコーヒーを飲み、副社長にまた、手を引かれ、店を後にした。


車に乗り込んで窓の外を眺める。

なにもいわなくても、私の自宅に向かっているみたいだ。



「次の角を左に曲がってください。」と不意に副社長が声を出し、車は左に曲がって行く。

もう、家の近所なのに…どこに行くんだろう。


「この先の児童館。まだ、土曜日にはボランティアで子どもと遊んでるのか？」と副社長は静かに声を出す。

「…はい。毎週ではありませんが…なぜ、知ってるんですか？」

「俺もここに来てた。子どもの時に芽衣と遊んだな。」と懐かしそうな声を出した。




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