インタビューはくちづけの後で
密着されています。
きのう、副社長は私の両親に

「芽衣さんとお付き合いさせていただけることになりました。よろしくお願いします。」

と頭を下げて、帰っていった。

いや、私、お付き合いするって言ったかな…
とちょっと思ったけど、

「まあ、よかったわね。芽衣。」

とおっとりした母が大げさなくらい喜んでいて、
この5年間、日本に帰ると欠かさず、挨拶に来ていたらしく、
「誠実なかたね。」と笑って私の顔を見たので、誤解を解くことができなかった。




やれやれ。



そうして、今朝もなぜか黒塗りの車が私の家の前に止まって、副社長が現れた。

もしかして、事実を重ねていく作戦ですか?

「今日は副社長は仕事じゃないんですよね。迎えに来ていただかなくっても会社に通えます。」

「俺は休暇で暇だから、芽衣に合わせるよ。」と微笑み、私の手を握っている。

「…今日も、社内を手を繋いで歩くんですか?」

「社内ではやめておこうかな。もう、十分噂になってるだろうし…」とニッコリ私の顔を見つめる。

社内で手を繋いだのも周りに見せるため?


こんな風に噂になって結婚しないってなったら、私って退職せざるおえないんじゃないだろうか…とため息が出た。

「芽衣。どうした?」

「副社長、これ以上噂になって結婚しないってなったら、私はこの会社で仕事を続ける自信がありません。
もう少し、控えめにしてくれませんか」とため息をつくと、

「大丈夫だよ。芽衣は俺と結婚するから…」

「…何を根拠に?」

「高学歴、イケメン、おまけにしっかり稼ぐ…悪くないだろ。
結婚しておけ。損はないぞ。」

その自信過剰なところはどうなの?!
というツッコミは心の中で言っておいた。
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