インタビューはくちづけの後で
JRの駅にほど近いマンションはそう大きなものではないけれど、

1階が喫茶店で、2階がBARになってるみたいだ。

黒塗りの車がマンションの入り口に停められ、運転手さんが車のドアを開ける。

「知り合いのマンション。中が贅沢に出来てる。8階、5LDK。ゲストルームもある。」

「…5LDKにひとり暮らし?」

「ファミリー用なんだ。芽衣、早く一緒に住もう。」と私の顔を見る。

「…住みませんけど…」と呆れた声を出すと、

「別居はしない。」と言いながら、私をエスコートして、マンションの入り口をカードキーで開ける。

…もしもーし、まだ、結婚するなんてひとことも言ってませんが…


エレベーターにもカードを当てて、中に入ると8階の表示が光る。

「他の階には止まらない。各階には2部屋しかない。降りて左の部屋。」
と片手でスーパーの袋を持ち、片手で私の肩を抱く。

なんだか普通に連れてこられてしまったけど、

これって、恋人の部屋にご飯を作りに行くって図になってないかな?

副社長って女慣れしすぎじゃない?と思った時には玄関のドアをくぐっていた。

自動で明るくなった玄関は
とても広くて、床は大理石が敷き詰められ、高い天井にはシャンデリアの装飾的な灯り。

私が上を向いて口を開けて見ていると、

「ただいま。」と副社長は私の頭を抱え、チュッとキスをしてから、部屋にスタスタ入って行った。


ちょっと待て、

今、ナチュラルにキスしたでしょ。と私が赤くなって口を掌で押さえると

「芽衣、何してる?腹減った。」と玄関に戻って来て、私の手を引いて部屋に入った。










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