インタビューはくちづけの後で
髪を濡らしたラフな格好な副社長が戻って来た頃にはハンバーグを、形作っているところだった。

「ハンバーグの味付けはどうしますか?」と聞くと、

「芽衣の家の味がいい」と言ったので、ケチャップ味の煮込みハンバーグにした。

ハンバーグを煮込みながら、付け合わせのほうれん草のソテーとサラダ、味噌汁を作り終えると、

ちょうどご飯が炊けたみたいだ。

副社長はソファーに座りパソコンを叩きながら、ビールとおつまみを食べ終えたところだ。


ダイニングテーブルに食事の用意が終わって、食事にしましょう。と声をかけると、

「いい匂いだ。」といそいそとテーブルに付いて、箸を取った。

私が手を合わせて「いただきます」と声を出すと、
副社長も真似をして「いただきます」と言って食べ始めた。

熱心に食事をしていて、時折目が合うと、私に笑いかけてくれるけれど、喋りかけてこない。
私も何を話したらいいのかよくわからずに、黙って食事を続けた。

「どれも美味いな。また、作ってくれ。」と旺盛な食欲を見せ、ハンバーグをお代わりし、食べ終えた。

機嫌が悪いわけじゃなさそうだけど…


食器を片付けながら、


「…瑞希さん。家で食事の時は喋らないんですか?」と不思議に思うと、

「芽衣の家では食事中話をするのか?」

「家族で食べる時は今日あった出来事を話します。」

「そうか。うちでは家族で食事は摂らないからな…外で食事をする時は大抵仕事の話をしているし…
部屋でも芽衣と一緒に食事をする時は話をしよう。」と私に微笑みかける。

「恋人の家で食事はしなかったんですか?」

「大抵外で会っていた。ほとんど身体の関係だけだったしな。
俺は芽衣が好きだと思っていたし、他に好きになったオンナはいないよ。
付き合ったオンナも気があうとか気に入ってたって程度だし」

と私の顔を見るので、私は驚いて食器を洗う手が止まってしまう。









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