インタビューはくちづけの後で
私が片付け終わる頃、瑞希さんがコーヒーを淹れてくれ、3人がけのソファーに並んで座った。


「瑞希さん、質問があります。」

「俺は結構恥ずかしい話を終えたところだと思うんだが…まだ、聞きたい事があるのか?」

「まだ、私は知りたい事があります」と言うと、

「…じゃあキスと交換ならいい。」

「きょ、今日は襲わないって言いました。」

「キスぐらいいいだろ。何年我慢したと思ってるんだ?」

「…」

「いいぞ。質問しろ。」


キスね。もう、3回してるし…
もう一回くらい増えてもそう、変わるわけじゃない
昨日から気にかかっていた事を…私は知りたい。



「あのっ、どうして…私を雇わなくっていい。と言ったんですか」と真面目な顔で聞いたんだけど…

「そう、キスされたいんだな」
と口の端をクッとあげて私の顎に手をかけ、見つめあったままでゆっくり私の唇にくちづけてくる。

今までのキスとは違う?

と思った時には深く唇が重なっていた。
無理やり私の口の中に入ってくる舌に驚いて身を引こうとしたけど、
すでにがっしり抱きしめられていて、身動きする事も出来ない。
柔らかくゆっくり口の中が侵されていく。
私の舌を執拗に求め、絡め合わせてきて
「んん…」とか声が漏れてしまうほど、
いやらしく音を立てて唾液を私に飲み込ませ、自分も貪るように私の唾液を吞み下す。
これはちょっとまずかったなと思っても遅いみたいだ。

長い長いくちづけ。いつまで続くの?
私は目を閉じ、息を乱し、声を漏らし続けた。

やっと唇が離されたと思って、ボンヤリ目を開けると、
「その顔は、誘ってるな」とまた長いくちづけが始まった。

いや、断じて誘ってはいません。
と心の中で呟いて、また、瑞希さんのくちづけに翻弄されていった。
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