インタビューはくちづけの後で
密着からの解放。
昨日は部屋を出ると、駐車場の車寄せに黒塗りの車が待っていた。
「送ってやってくれ。」と私だけを車に乗せ、瑞希さんは部屋に戻って行った。
昨日も今日も、この車の後部座席で手を繋ぎ、楽しそうな横顔を見せていたので、
隣に座っていない事の方が違和感がある。
「…すみません。私を送るために呼び出されてしまいましたか?」と沈黙に耐えられずに運転手の高木さんに向かって声を出すと、
「いいえ。今日は帰すつもりだから、と瑞希さんはおっしゃって…待つように言われていました。」と柔らかい声を出してくれる。
…今日は本当に帰してくれるつもりだったって事かな…でも…
「すみません。…ずいぶんお待たせしましたよね。タクシーでも良かったのに…」
「いいえ。私どもは待つのも仕事です。
…それに『瑞希さんの大切な方』を任せていただけて私は嬉しいです。」と真面目な声で言ってくれた。
『瑞希さんの大切な方。』
…それって私の事…だよね。
と深く息を吐いて窓の外をボンヤリ眺めた。
「送ってやってくれ。」と私だけを車に乗せ、瑞希さんは部屋に戻って行った。
昨日も今日も、この車の後部座席で手を繋ぎ、楽しそうな横顔を見せていたので、
隣に座っていない事の方が違和感がある。
「…すみません。私を送るために呼び出されてしまいましたか?」と沈黙に耐えられずに運転手の高木さんに向かって声を出すと、
「いいえ。今日は帰すつもりだから、と瑞希さんはおっしゃって…待つように言われていました。」と柔らかい声を出してくれる。
…今日は本当に帰してくれるつもりだったって事かな…でも…
「すみません。…ずいぶんお待たせしましたよね。タクシーでも良かったのに…」
「いいえ。私どもは待つのも仕事です。
…それに『瑞希さんの大切な方』を任せていただけて私は嬉しいです。」と真面目な声で言ってくれた。
『瑞希さんの大切な方。』
…それって私の事…だよね。
と深く息を吐いて窓の外をボンヤリ眺めた。