インタビューはくちづけの後で
その後の密着。
社内報の特集は私が原稿を書き、斎藤課長がチェックして、
来月の秋号に載せられる。

その頃はフライング気味に会社に勤め始めた瑞希さんが社員に挨拶をするために
パーティーも開かれる予定らしい。

そのパーティーには私も婚約者として出席するらしく、今から緊張するけれど、


「俺がついてる。」と瑞希さんが私の瞳を覗いてくれるので、安心だ。



私が仕事を続けたいと言うと、

「籍を入れたら続けてもいい。」と笑って許してくれた。


瑞希さんのご両親に挨拶に行くと、

瑞希さんに許婚がいたとは知らなかったお母さんは最初は機嫌が悪かったようだったけど、

瑞希さんが「すぐに孫の顔が見れるよ。」と言ったので、機嫌を直してくれたみたいだ。

(そんな話は、私は聞いていないって思ったけど、私もニッコリ微笑んでおいた。)


せっかちな瑞希さんはご両親に挨拶をすませると、

高木さんの運転する車でそのままサッサとに区役所に行き、婚姻届を出してしまった。
(斎藤課長が言っていたように私以外のサインはもう済んでいた。立会人にはもちろん斎藤課長夫妻のサインがあった。)

「親父には黙ってろよ。」

と私の指にホワイトゴールドのゆるくVのカーブを描く華奢なマリッジリングを付け、
(大きなダイヤモンドのリングと重ね付けができるものみたいでピタリと重なった。)
自分の指にも「俺にもつけろ」と私に笑顔を見せた。



私は妻になったようだけど、どうも実感はない。と瑞希さんの顔をみると、

「いいんだ。俺が安心したいだけだから。ゆっくり妻になってくれ。」

と満足げにふたりの指についた指輪を見ていて、気にする様子はないみたいだ。



結婚したんだ。

本当に。


「瑞希さん、すぐに子どもが欲しいんですか?」と聞くと、

「芽衣は仕事を始めたばかりだろ。落ち着いた頃からでいいよ。
うーん。来年、披露宴が終わったら、頑張ろう。」

え?来年?
春には披露宴だから
えーと、それって結構すぐだよねえ。

と思っていると

「俺がそばにいる。悩むな」と私の瞳を覗く切れ長の瞳。

結構その瞳に見つめられて、くちづけされると、文句が言えなくなるんだよね。

うーむ。

と思いながら車の中で甘やかすようなくちづけをうけていた。

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