十五の行方
かくして、二人しか受講者がいない補講が始まった。


二人しかいないのだから、どこにいても同じことだ。


後ろの席で居眠りしても、どの道すぐにバレる。


「だったら潔く前にいようよ。ついでに私の隣があいてるよ」


バシバシ机を叩く彼女に渋々頷いてから、何となく定位置になって。

俺たちは二人並んで、一番前の真ん中の席をいつも陣取っていた。


「ねえ、今どこ?」

「問八」

「うっそ速いよ! 私まだ問三なのに!」

「……いや、遅すぎだろ……」


彼女はやたらとアホだった。


俺は解答欄がずれただけで、本当は平均以上は取れる。数学なら本来得意科目だ。


でもこの隣の人は、ちゃんと勉強したけど本気で分からなくて、真剣に解答して八点を取ったらしい。


……それは、どう考えても、どう考えてもやっぱりヤバい。いろいろ大丈夫か、この人。
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