溺愛までノンストップ〜社長の包囲網から逃げられません〜
「麗美さんと同棲する許可を頂きたいのです。このままでは彼女は僕の元から去るつもりでいます。誰にも邪魔されずに2人きりで話合う必要があるんです。身分違いだと気にして、祖父の目を気にして、借金の事も気にしていました。だから、誰にも言わず交際を隠していたはずです」
「麗美にそんな辛い思いをさせていたなんて知りませんでした」
「彼女を失いたくありません。どうか許してください」
「西園寺さんにお任せします」
「ありがとうございます。それでは彼女に内緒で行動を起こす必要があります。協力お願いできますか?」
「はい」
「今日、別れを告げられる前に強行手段を取りたいと思っています。これから、ご自宅に麗美さんのお荷物を取りに業者を伺わせて頂いていいでしょうか?私は、仕事で向かえませんが代わりに秘書を向かわせますので、お願いします」
「わかりました。家には家内がいます。伝えておきますので、麗美をよろしくお願いします」
「はい、近いうちに必ずお孫さんを抱けるように頑張ります。では、またご連絡させて頂きます」
桐谷さんとの通話をきり、緒方を呼ぶ。
「今から頼みがある。桐谷家に向かい、麗美の荷物を俺のマンションに運んでくれないか?」
「それは、業務外ですが…」
「俺が結婚しなくてもいいなら構わない」
「仕方ありません。今回だけです…桐谷さんにできる仕事を準備してから向かわせて頂きます」
「あぁ、頼む。手続きはこちらでしておく」
緒方が出ていき、全ての手配を済ませた俺は、2人の時間を堪能する事に思いをはせた。
必ず、麗美を俺に振り向かせて見せる。
俺を見るあの目は、好きだと言っているのだから…
《完》