不埒な専務はおねだーりん

「かずさちゃんの役目はこれらの書類を専務に渡して、承認印をもらってくることよ」

(なーんだ……。それだけ?)

っと思っていたのも束の間。

浜井さんは次から次へと似たような書類をキャビネットから引っ張り出してはバサバサと私の元に積み上げていった。

(重っ……!!)

溜まりに溜まった書類の厚みはちょっとした辞書ほどにもなる。

「まさか……これ全部未処理なんですか?」

「そのまさかよ。初日で申し訳ないのだけれど頼まれてくれる?これと、これは今日中に目を通してもらいたいの」

「ええ!?」

兄が入院したのはほんの一昨日のことだ。

その間にこれだけの書類が溜まるなんてあり得るの!?

「専務にズバズバと物を言えるのは、世界広しといえども鳥山兄妹だけでしょうね」

浜井さんはクスクスと笑うと、さっさと行けと言わんばかりに専務の執務室へと続く廊下に私を締め出したのだった。

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