不埒な専務はおねだーりん

「じゃあ、家まで送って行こう。それならいいだろう?」

「いいですよ!!ひとりで帰れますから!!」

行きは篤典さんと一緒だったので運転手付きの社用車を使用したが、帰りはもちろん電車で帰るつもりだった。

私の家と篤典さんの帰る方向は真逆なのである。

広大な敷地面積を有する宇田川家の本宅はやや郊外に立地しているため、篤典さんは宇田川城の管理を任されるようになると、都心のマンションに住まいを移したのだ。

「実家に帰るついでだよ。たまには顔を出せと、うちの母上もおかんむりだからね」

「そういう……ことでしたら……」

篤典さんに丸め込まれたような気はしなくはないが、送ってもらえるのは大変ありがたいため、大人しく社用車に乗せられる。

篤典さんはつくづく私に甘いと思うんだよな……。

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