不埒な専務はおねだーりん
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「マニキュアさせてくれないか?」
篤典さんはニコリと微笑むと、デスクの上に嬉々としてマニキュアの小瓶を並べた。
篤典さんのおねだりは初日以降も続き、私はというと“おねだりなんか聞くものか!!”と大見得を切っていたくせに、見栄と仕事を天秤にかけた結果……。
「……はい、専務」
……やむを得ず仕事を取った。
(だって、本当に仕事してくれないんだもん……)
おねだりをきく以外にも、怒ったり、泣いたりと色々と試してみたけれど、専務はそっぽを向くばかりで全く仕事に手を付けてくれなかったのだ。
「この赤いのはどうかな?かずさの可愛い指に良く映えると思うんだよね」
「派手すぎますよ……」
派手過ぎない色ならオフィスでもセーフだろうけど、さすがに赤色はNGである。