不埒な専務はおねだーりん
(出来たー!!)
内容はともかく、なんとか勤務時間内に議事録を仕上げることができた私は、ひとり無言で万歳をした。
集中していたせいでカチカチに固まってしまった肩を労わるように揉みほぐす。
浜井さんに確認依頼のメールを入れれば、本日の業務は無事終了である。
会議といえば……。
(……今日の篤典さんはなんだか様子がおかしかった……ような)
キーボードを叩く手が思わず止まってしまう。
篤典さんらしからぬ投げやりな言動の数々は普段なら絶対にあり得ないものだった。
「かずさちゃん、帰らないの?まだ終わらない?」
「もうすぐ終わるので、あとちょっとだけ残ります」
無理しないでね?と私を気遣うと、浜井さんはそのまま先に帰宅してしまった。
つまりは、篤典さんとふたりきりで話せるチャンスなのである。