不埒な専務はおねだーりん
「私から手を出す分には……問題ないんですよね?」
私は篤典さんにもたれかかり、そのまま固い床に押し倒しキスの続きへと誘うのであった。
篤典さんは参ったと降参すると、両手で顔を覆い天を仰いだ。
「ワルイ子になったもんだな。全く……誰が手ほどきをしたんだか……」
私がワルイ子になったのだとしたら、それは間違いなく篤典さんのせいである。
「覚えの良い教え子で嬉しい?」
ふふっと互いに笑い合えば、視界がクルリと反転して、瞬く間に形勢が逆転する。
「まあ、そんなかずさも好きだけどね?」
……不埒なおねだーりんの手にかかれば、私みたいな恋愛初心者はイチコロである。
パジャマと下着の貧相さを思い出す余裕もなく、身体中が痺れる程の快感と甘い痛みに直ぐに堕ちていく。
篤典さんの体温とスースーという寝息に包まれて、私はその日、久し振りにゆっくり眠れることができたのだった。