イジワルで優しい彼と再会したら
先輩に声をかけることができたのは、
隣の家に住む幼馴染が、先輩と同じクラスで、友達であることが分かってからだった。


「おかえり恭介くん。ちょっと聞きたいんだけど、今日お昼休みに一緒に歩いてた人ってさ…」
恭介の家の玄関先で、真琴が待ち構えていた。

「え?隆一か?そういえば風紀委員だから、真琴も知ってるのか」

「そう。委員会が一緒なんだけどね、それだけじゃなくて…」

歯切れの悪い真琴の態度に、恭介は不審げな顔をした。

「どうした、いじめられでもした?」

「好きなの」

「……」

「恭介くん。聞こえた?」

「…あっ!聞こえてます。聞こえてますけど、俺のことじゃないよな」

「恭介くんなわけないでしょ」
真琴が憮然として答え、恭介は肩をすくめた。

「詳しく、教えてもらえるよね?」

(断るって言える雰囲気じゃないけどな…)

恭介はまた肩をすくめた。
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