最後の恋のお相手は
第一章 天然女子の恋
①
いちばん端の、窓際のテーブル。
色黒……と言うか、日サロ焼けっぽい。髪は緩いパーマで茶髪。歯並びのいい、白い歯が際立って綺麗に見える、四十代くらいの男性の指定席。
「ごめん。ランチタイムギリギリやけれど、ええかな?」
ここは、飲料メーカー春日園の社員食堂。四月から調理補助として働き始めて、三ヶ月。不定期にふらりとやってくる、その男性が気になって仕方がない。
大きな会社だから、利用する人が多い社員食堂で、彼は特別目立っていた。名前を知りたいけれど、なぜだか彼は首から社員証を下げていない。うちの社員やなくて、外部の人なのかな? なんて思ったり。
「どうぞ」
「ありがとう。ほな、日替わりランチ」
今日の日替わりランチは、カツ丼。サラダにお新香、味噌汁付きでワンコイン。春日園の社員食堂は、安くておいしくて人気がある。味噌汁、ごはんはおかわり自由。
「カツ丼やったらおかわりできへんやん? ごはん、大盛りにしてや?」
細身のわりに大食漢。誰に対してもタメ口で気さくに話しかけてくる。
「はい。ごはん、大盛りで!」
社員食堂の厨房は、調理師の国富さんと、それを補助する私のふたりだけで切り盛りをしていた。注文を受けるのは、私の仕事だ。
「今日も元気がいいなぁ」
彼に褒められると、うれしくなる。作り笑いではない笑顔を返した。
色黒……と言うか、日サロ焼けっぽい。髪は緩いパーマで茶髪。歯並びのいい、白い歯が際立って綺麗に見える、四十代くらいの男性の指定席。
「ごめん。ランチタイムギリギリやけれど、ええかな?」
ここは、飲料メーカー春日園の社員食堂。四月から調理補助として働き始めて、三ヶ月。不定期にふらりとやってくる、その男性が気になって仕方がない。
大きな会社だから、利用する人が多い社員食堂で、彼は特別目立っていた。名前を知りたいけれど、なぜだか彼は首から社員証を下げていない。うちの社員やなくて、外部の人なのかな? なんて思ったり。
「どうぞ」
「ありがとう。ほな、日替わりランチ」
今日の日替わりランチは、カツ丼。サラダにお新香、味噌汁付きでワンコイン。春日園の社員食堂は、安くておいしくて人気がある。味噌汁、ごはんはおかわり自由。
「カツ丼やったらおかわりできへんやん? ごはん、大盛りにしてや?」
細身のわりに大食漢。誰に対してもタメ口で気さくに話しかけてくる。
「はい。ごはん、大盛りで!」
社員食堂の厨房は、調理師の国富さんと、それを補助する私のふたりだけで切り盛りをしていた。注文を受けるのは、私の仕事だ。
「今日も元気がいいなぁ」
彼に褒められると、うれしくなる。作り笑いではない笑顔を返した。
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