最後の恋のお相手は
翌日、ランチタイム。
「いらっしゃいませ!」
日向さんから二百万円もの大金を受け取り、なんだか罪悪感を抱いていた。それでもいつも以上に明るく、笑顔を絶やさずに業務をこなしていた。
『キララちゃんを買う』
日向さんが社員食堂に来たら、どんな顔をして会えばいいのか……。社員食堂の女=キララちゃんだと気づいているのか、いないのか。そのあたりも気になっていた。
「ありがとうございました」
いろいろな思いが渦巻きながら、淡々と業務をこなしていく。日向さん、今日は来なければいいのに。そう強く思っていると、その願いが通じたのか、ランチタイムを過ぎても日向さんは現れなかった。
ホッと胸を撫で下ろし、厨房内の後かたづけと掃除を始めた。
「ちょっと一服してきていいか?」
笑顔でうなずくと、国富さんが出ていった。しばらくすると、厨房内にある電話が鳴った。国富さん曰く、滅多に鳴らないという電話が、ひとりのときに限って鳴ったのだ。
「はい。社員食堂です」
社内の人からしかかかってこないと聞いていたから、そう言った。
『こんにちは。社長秘書の田野です』
社長秘書が社員食堂に何の用? 不思議に思いながら、挨拶を返した。
『社長が、社員食堂の利用状況を聞きたいから、社長室に来てほしいと言われています』
「え? あの……調理補助のバイトをしている者なんですが、私でいいんですか?」
『調理補助の北方郁美さん』
「はい! 私です」
『北方さんと話がしたいと言われていますので、業務が終わりましたら社長室に来ていただけますか?』
キララちゃんとしてのご指名には慣れているけれど……。仕事とはいえ、社長室に行くだなんて、ドキドキする。
「わかりました!」
「いらっしゃいませ!」
日向さんから二百万円もの大金を受け取り、なんだか罪悪感を抱いていた。それでもいつも以上に明るく、笑顔を絶やさずに業務をこなしていた。
『キララちゃんを買う』
日向さんが社員食堂に来たら、どんな顔をして会えばいいのか……。社員食堂の女=キララちゃんだと気づいているのか、いないのか。そのあたりも気になっていた。
「ありがとうございました」
いろいろな思いが渦巻きながら、淡々と業務をこなしていく。日向さん、今日は来なければいいのに。そう強く思っていると、その願いが通じたのか、ランチタイムを過ぎても日向さんは現れなかった。
ホッと胸を撫で下ろし、厨房内の後かたづけと掃除を始めた。
「ちょっと一服してきていいか?」
笑顔でうなずくと、国富さんが出ていった。しばらくすると、厨房内にある電話が鳴った。国富さん曰く、滅多に鳴らないという電話が、ひとりのときに限って鳴ったのだ。
「はい。社員食堂です」
社内の人からしかかかってこないと聞いていたから、そう言った。
『こんにちは。社長秘書の田野です』
社長秘書が社員食堂に何の用? 不思議に思いながら、挨拶を返した。
『社長が、社員食堂の利用状況を聞きたいから、社長室に来てほしいと言われています』
「え? あの……調理補助のバイトをしている者なんですが、私でいいんですか?」
『調理補助の北方郁美さん』
「はい! 私です」
『北方さんと話がしたいと言われていますので、業務が終わりましたら社長室に来ていただけますか?』
キララちゃんとしてのご指名には慣れているけれど……。仕事とはいえ、社長室に行くだなんて、ドキドキする。
「わかりました!」