最後の恋のお相手は
②
日曜日、午前十時。
待ち合わせは、私の地元の駅前。ロータリーまで車で迎えに来てくれることになっていた。
真っ赤なスポーツカーが、私をみつけて停車した。日向社長が窓から顔を出すと、すぐに歩み寄って挨拶をした。
「おはよう。乗って?」
ピカピカに光る車は、注目の的になった。まわりの視線を感じながら、急いで車に乗り込んだ。高級車=外車だと思っていたけれど、日本車の中でもかなり高級な車だと、素人の私が見てわかるほどだった。
私なんかのデートにこんな高級車、もったいない……。
「どないしたん?」
様子がおかしい私に、日向社長はすぐに気がついた。
「あ、あの……。私なんかに二百万円もの価値があるのかと……」
「また言ってる」
フンと、日向社長が鼻で笑った。
「価値のない女に、そんな大金を使わへん」
「……でも」
「郁美」
強い口調で名前を呼ばれて、ドキッとした。背中にひと筋の汗。
「ふたりだけの時間を、楽しみたい」
日向社長に視線を送ると、その視線を受け止めて、優しく微笑んだ。
「まずは、買い物に行こう」
「あ、はい!」
日向社長の運転で街に出た。車は、とある百貨店の駐車場に入った。
「今日は、ここで買い物と、昼ごはんを済ませる。その後は、ドライブでもしようか?」
「はい」
「郁美」
「はい?」
緊張している私に、日向社長は苦笑いだ。
「そんなに『社長』って意識されていたら、デートを楽しまれへん」
「でも……日向社長は『社長』ですから、緊張します……」
素直に気持ちを伝えると、そっと優しく頭を撫でられた。
「オレは『社長』である前に、日向雄洋っていうひとりの男なんやから」
「はい……」
そう言われても、なかなか緊張はほぐれない。
待ち合わせは、私の地元の駅前。ロータリーまで車で迎えに来てくれることになっていた。
真っ赤なスポーツカーが、私をみつけて停車した。日向社長が窓から顔を出すと、すぐに歩み寄って挨拶をした。
「おはよう。乗って?」
ピカピカに光る車は、注目の的になった。まわりの視線を感じながら、急いで車に乗り込んだ。高級車=外車だと思っていたけれど、日本車の中でもかなり高級な車だと、素人の私が見てわかるほどだった。
私なんかのデートにこんな高級車、もったいない……。
「どないしたん?」
様子がおかしい私に、日向社長はすぐに気がついた。
「あ、あの……。私なんかに二百万円もの価値があるのかと……」
「また言ってる」
フンと、日向社長が鼻で笑った。
「価値のない女に、そんな大金を使わへん」
「……でも」
「郁美」
強い口調で名前を呼ばれて、ドキッとした。背中にひと筋の汗。
「ふたりだけの時間を、楽しみたい」
日向社長に視線を送ると、その視線を受け止めて、優しく微笑んだ。
「まずは、買い物に行こう」
「あ、はい!」
日向社長の運転で街に出た。車は、とある百貨店の駐車場に入った。
「今日は、ここで買い物と、昼ごはんを済ませる。その後は、ドライブでもしようか?」
「はい」
「郁美」
「はい?」
緊張している私に、日向社長は苦笑いだ。
「そんなに『社長』って意識されていたら、デートを楽しまれへん」
「でも……日向社長は『社長』ですから、緊張します……」
素直に気持ちを伝えると、そっと優しく頭を撫でられた。
「オレは『社長』である前に、日向雄洋っていうひとりの男なんやから」
「はい……」
そう言われても、なかなか緊張はほぐれない。