最後の恋のお相手は
④
鉄板ではとろけるような高級和牛に、新鮮な魚介類が焼かれ、甘みを感じるみずみずしい野菜サラダに舌鼓をうち、赤ワインで乾杯……。
あれ? 雄洋さん、車で迎えに来てくれたのに、赤ワインを飲んでいるし! もしかして、高級ホテルで一泊……とか!?
頭がクラクラしそうになるのは、赤ワインのアルコールのせいではない。夢のような一夜を過ごせるのではないか? という期待に胸が膨らむからだ。
「あの……赤ワインを飲んで大丈夫ですか?」
「車のこと?」
そうそう! まさか、飲酒運転をするはずはない。でも、さすがに泊まりですか? なんて、恥ずかしくて聞けない。
期待を込めた目でうなずいた。
「車は、運転手に任せる。郁美は、タクシーで送るから心配いらんよ?」
あ……。タクシー、ですか? ふたりでお泊まり。なんて、甘い時間を考えてしまった私は、恥ずかしさのあまり頬が急激に熱くなった。
「もしかして、期待していた?」
和牛ステーキを口に運びながら、涼しい顔をして雄洋さんが言った。
「え、あ、な、何を……」
フォークにトマトを刺したまま、目を泳がせる私。
「ごまかしたって、頬が真っ赤や」
肉食系の、いやらしい女と思われた? 雄洋さんにはそんなふうに思われたくないのに……背中にひと筋の汗。
「オレは、見た目と違って意外と紳士やで?」
そう言った雄洋さんに、笑顔はなかった。気を悪くさせたのかもしれない。
「あ……ご、ごめんなさい」
「謝らんでもいい。見た目が派手やし、誤解されても仕方がないわ」
雄洋さんは、しばらく無言で食べていた。私も勧められるまま、一緒に食べていたけれど、気を悪くさせてしまったことを申し訳なく思い、おいしいものがおいしく感じなかった。
「ごめん」
口を開いたかと思うと、突然謝った雄洋さん。びっくりして目を丸くする私の頭をそっと撫でた。
「食事が終わったら、帰ろう」
あれ? 雄洋さん、車で迎えに来てくれたのに、赤ワインを飲んでいるし! もしかして、高級ホテルで一泊……とか!?
頭がクラクラしそうになるのは、赤ワインのアルコールのせいではない。夢のような一夜を過ごせるのではないか? という期待に胸が膨らむからだ。
「あの……赤ワインを飲んで大丈夫ですか?」
「車のこと?」
そうそう! まさか、飲酒運転をするはずはない。でも、さすがに泊まりですか? なんて、恥ずかしくて聞けない。
期待を込めた目でうなずいた。
「車は、運転手に任せる。郁美は、タクシーで送るから心配いらんよ?」
あ……。タクシー、ですか? ふたりでお泊まり。なんて、甘い時間を考えてしまった私は、恥ずかしさのあまり頬が急激に熱くなった。
「もしかして、期待していた?」
和牛ステーキを口に運びながら、涼しい顔をして雄洋さんが言った。
「え、あ、な、何を……」
フォークにトマトを刺したまま、目を泳がせる私。
「ごまかしたって、頬が真っ赤や」
肉食系の、いやらしい女と思われた? 雄洋さんにはそんなふうに思われたくないのに……背中にひと筋の汗。
「オレは、見た目と違って意外と紳士やで?」
そう言った雄洋さんに、笑顔はなかった。気を悪くさせたのかもしれない。
「あ……ご、ごめんなさい」
「謝らんでもいい。見た目が派手やし、誤解されても仕方がないわ」
雄洋さんは、しばらく無言で食べていた。私も勧められるまま、一緒に食べていたけれど、気を悪くさせてしまったことを申し訳なく思い、おいしいものがおいしく感じなかった。
「ごめん」
口を開いたかと思うと、突然謝った雄洋さん。びっくりして目を丸くする私の頭をそっと撫でた。
「食事が終わったら、帰ろう」