最後の恋のお相手は
「お金のことは、いい。それよりオレは、郁美に謝りたかったんや」
「謝る?」
そう聞き返した私を、雄洋さんが座るように促した。何を謝りたかったのか不思議に思い、素直に座りなおした。
「郁美の大事な時間を、オレとの時間に使わせてしまって悪かった」
「そんなこと……」
そんなことで謝らせてしまって、こちらこそ申し訳ないと思った。恋愛感情もない、夜の仕事を辞めさせたいだけの、アルバイト従業員の私に、大金と、大事な時間を使わせてしまって……。
「だから、もう会うのはやめようと思ったんや。でも、金は専門学校の費用に充ててほしい」
「なんで……」
なんで私にそんなに優しくしてくれるんやろ……。心遣いがうれしくて、泣きそうになるのをなんとかこらえた。
「なんで……って。夢を叶えてほしいと思っただけや」
優しく微笑んだそのまなざしは、娘を見守る親のように思えた。雄洋さんの私への思いに恋愛感情はなかった、と改めて感じた。
「ありがとうございます」
私も、とびっきりの笑顔で答えた。でも、あの日のキスがひっかかったままだ。
「コーヒー、冷めてもうたけれど、良かったら……」
これを飲み干したら、ふたりの関係は終わる。そう思いながら、一気に飲み干した。
「ごちそうさまでした」
立ち上がると、雄洋さんも立ち上がり、コーヒーカップを片づけた。その後ろ姿を、ぼんやりとながめた。
「謝る?」
そう聞き返した私を、雄洋さんが座るように促した。何を謝りたかったのか不思議に思い、素直に座りなおした。
「郁美の大事な時間を、オレとの時間に使わせてしまって悪かった」
「そんなこと……」
そんなことで謝らせてしまって、こちらこそ申し訳ないと思った。恋愛感情もない、夜の仕事を辞めさせたいだけの、アルバイト従業員の私に、大金と、大事な時間を使わせてしまって……。
「だから、もう会うのはやめようと思ったんや。でも、金は専門学校の費用に充ててほしい」
「なんで……」
なんで私にそんなに優しくしてくれるんやろ……。心遣いがうれしくて、泣きそうになるのをなんとかこらえた。
「なんで……って。夢を叶えてほしいと思っただけや」
優しく微笑んだそのまなざしは、娘を見守る親のように思えた。雄洋さんの私への思いに恋愛感情はなかった、と改めて感じた。
「ありがとうございます」
私も、とびっきりの笑顔で答えた。でも、あの日のキスがひっかかったままだ。
「コーヒー、冷めてもうたけれど、良かったら……」
これを飲み干したら、ふたりの関係は終わる。そう思いながら、一気に飲み干した。
「ごちそうさまでした」
立ち上がると、雄洋さんも立ち上がり、コーヒーカップを片づけた。その後ろ姿を、ぼんやりとながめた。