最後の恋のお相手は
服の上からはわからなかった、引き締まった身体が露わになった。肌と肌が触れ合うと、雄洋さんの男らしさを感じて、胸の鼓動が早くなっていく……。

「郁美」

雄洋さんは、何度も何度も私の名前をささやくように呼んだ。そのたびにじっと目をみつめた。ただ単に、男性の本能が働いて、私を抱きしめたい衝動に駆られたのだとしても、抱かれたことに後悔はなかった。

優しく、それでいて激しく、私を未知への領域に誘う。今までに感じたことのない快感で頭が真っ白になった。

「ありがとう」

ぼんやりとする頭の中。かすかに雄洋さんの声が聞こえた。そこに愛はなくても、雄洋さんと結ばれたことに幸せを感じた。

なにも言わずに、指を絡めた。この思いは、成就しなくてもいい。でも、私の思いを感じとってほしい。ギュッと思いをこめて雄洋さんと手を繋いだまま、目を閉じた。



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