最後の恋のお相手は
第四章 新たに恋
①
日曜日の午後。
私は、高級ホテルのラウンジに向かっていた。ドレスコードがあり、どんな服装をすればいいのかわからない私は、黒のパンツスーツを選び、バレッタで髪を束ねた。
十四時少し前に、ラウンジに着いた。不思議なことに、利用しているのはカップルが多い。最初は違和感を覚えたが、お見合い中のカップルが多いことに気がついた。
なるほど。ここならほどよい値段で、落ち着いた雰囲気の中で、話ができるから……か。そんなことを思いながら、日向社長の姿を探した。
緩いパーマで茶髪の後ろ姿は、すぐにみつけることができた。
足を止め、様子を伺う。後ろ姿で、日向社長の表情はよくわからない。相手は品のある方で、控えめでシックなネイビーのワンピースを着ていた。それでいて、大人の色気もある。
声をかけることができない私は、その場で立ち尽くしていた。そんな私に気づいたお見合い相手の女性と、視線がぶつかった。
お互い、そらすことはしなかった。それに気づいた日向社長が、女性の視線を追いかけるようにして、振り向いた。
日向社長の唇があっ……と動き、声にならない声をあげたように見えた。
「こんにちは」
考えるより先に、足がふたりのテーブルに歩み寄っていた。
「日向社長!」
「な、何? どないしたん?」
日向社長らしからぬ、動揺しているのがすぐにわかった。フゥッと、大きく息を吸い込むと、頭の中が真っ白になった。
私は、高級ホテルのラウンジに向かっていた。ドレスコードがあり、どんな服装をすればいいのかわからない私は、黒のパンツスーツを選び、バレッタで髪を束ねた。
十四時少し前に、ラウンジに着いた。不思議なことに、利用しているのはカップルが多い。最初は違和感を覚えたが、お見合い中のカップルが多いことに気がついた。
なるほど。ここならほどよい値段で、落ち着いた雰囲気の中で、話ができるから……か。そんなことを思いながら、日向社長の姿を探した。
緩いパーマで茶髪の後ろ姿は、すぐにみつけることができた。
足を止め、様子を伺う。後ろ姿で、日向社長の表情はよくわからない。相手は品のある方で、控えめでシックなネイビーのワンピースを着ていた。それでいて、大人の色気もある。
声をかけることができない私は、その場で立ち尽くしていた。そんな私に気づいたお見合い相手の女性と、視線がぶつかった。
お互い、そらすことはしなかった。それに気づいた日向社長が、女性の視線を追いかけるようにして、振り向いた。
日向社長の唇があっ……と動き、声にならない声をあげたように見えた。
「こんにちは」
考えるより先に、足がふたりのテーブルに歩み寄っていた。
「日向社長!」
「な、何? どないしたん?」
日向社長らしからぬ、動揺しているのがすぐにわかった。フゥッと、大きく息を吸い込むと、頭の中が真っ白になった。