最後の恋のお相手は
「私と、結婚してください!」

「えっ!?」

アレ? 私、今、おかしなことを口走ってしまったような……?

「えっ?」

自分で言い放っておいて、聞き返した。

「日向さん、こんなにかわいい女性がいるのに、どうしてお見合いをされたのですか?」

お見合い相手の女性が、上品な笑みを浮かべながら、日向社長に質問した。

「え? いや、この子は従業員で……」

あたふたしながら、日向社長が答えると、女性がスッと立ち上がった。

「最初から乗り気でないのは、わかっていました」

「あ、いや……その……」

いつもの余裕はどこへやら。立ち上がって慌てて女性に弁解しようとする、日向社長。

その様子を、ポカンと口を開けてみつめる私。

「私はかまいません。どうか彼女とお幸せに……」

去り行く女性を追いかけることもせず、その背中をぼんやりとみつめる日向社長。その背中が見えなくなると、あぁ、とため息のような声を漏らして、ドサッとソファに座った。

「……すみませんでした」

小さな小さな声で日向社長に謝ると、鼻で笑われた。

「この責任、どうやって取ってもらおうかな?」

「責任……って?」

目を丸くして日向社長をみつめると、ニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。


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