最後の恋のお相手は
②
「こんばんは」
大阪の繁華街にある、ガールズバー。十九時になると、私は『キララちゃん』になる。
以前は、フルタイムで事務員をしていた。社内恋愛でゴタゴタし、思い切って退社した私は、以前からなりたかった調理師になるべく、昼間は調理補助、夜はガールズバーで働きながら、夜間の専門学校費を稼いでいた。
目処がたったらガールズバーを辞め、夜間の専門学校に通いたい。
「キララちゃん、ご指名やで」
私の働いているお店は、店員同士が仲良しで、雰囲気もいいから働きやすい。私のように夢を叶えたくて働いている子もいて、一緒にがんばろうという気持ちになれる。
「はぁい」
笑顔でテーブルに向かう。常連さんが私をみつけて笑顔で手を振る隣には、見覚えのある顔……。
胸の鼓動が加速していく。その顔は、春日園の社員食堂で会う、彼に間違いなかったからだ。
「こんばんは。いらっしゃいませ」
なんでここに!? と、思いながら笑顔で挨拶をした。
「今日は、オレの得意先の方を連れてきてん」
春日園の社員食堂では、ナチュラルメイク。長い髪を束ねて、帽子の中に入れている。ここでは元気な妹系のキャラで、ツインテールにTシャツ、ショートパンツが定番。ファンデはあえて濃い目の色を使っていて、こんがり日焼け娘をイメージしていた。
「初めまして」
……だから、バレない。やんな? 声に特徴があるわけでもない。気づくわけないやんな? そう何度も自分に言い聞かせながら、彼に視線を送った。
大阪の繁華街にある、ガールズバー。十九時になると、私は『キララちゃん』になる。
以前は、フルタイムで事務員をしていた。社内恋愛でゴタゴタし、思い切って退社した私は、以前からなりたかった調理師になるべく、昼間は調理補助、夜はガールズバーで働きながら、夜間の専門学校費を稼いでいた。
目処がたったらガールズバーを辞め、夜間の専門学校に通いたい。
「キララちゃん、ご指名やで」
私の働いているお店は、店員同士が仲良しで、雰囲気もいいから働きやすい。私のように夢を叶えたくて働いている子もいて、一緒にがんばろうという気持ちになれる。
「はぁい」
笑顔でテーブルに向かう。常連さんが私をみつけて笑顔で手を振る隣には、見覚えのある顔……。
胸の鼓動が加速していく。その顔は、春日園の社員食堂で会う、彼に間違いなかったからだ。
「こんばんは。いらっしゃいませ」
なんでここに!? と、思いながら笑顔で挨拶をした。
「今日は、オレの得意先の方を連れてきてん」
春日園の社員食堂では、ナチュラルメイク。長い髪を束ねて、帽子の中に入れている。ここでは元気な妹系のキャラで、ツインテールにTシャツ、ショートパンツが定番。ファンデはあえて濃い目の色を使っていて、こんがり日焼け娘をイメージしていた。
「初めまして」
……だから、バレない。やんな? 声に特徴があるわけでもない。気づくわけないやんな? そう何度も自分に言い聞かせながら、彼に視線を送った。