最後の恋のお相手は
私が通う夜間の調理専門学校は、十八時三十分から二十二時まで。初日の今日は、緊張しているうちに、あっと言う間に終わった感じだ。
専門学校から駅へ向かう道で、クラクションを二度鳴らされて、驚いて振り返った。
真っ赤なスポーツカー。雄洋さんが窓から顔を出すと、乗るように促した。
「迎えに来てくれたんですね! ありがとうございます」
うれしくて声を弾ませると、なぜだか苦笑いをしていた。
「どうかしましたか?」
「ん、いや……。郁美が気になって」
「大丈夫ですよ? 授業中、いねむりなんてしませんから」
シートベルトを締めながら、雄洋さんの顔を覗き込むようにして言った。
「いねむりの心配より、郁美が他の男に誘惑されてへんか、心配」
にらみつけるような視線を私に向けた。雄洋さんの過保護のような愛を感じると、思わず笑ってしまった。
「大丈夫です。私には、雄洋さんしかいません」
はっきりと気持ちを伝えると、優しいキスをして、車を発進させた。
「今夜、帰さんから」
忙しくて、恋をおろそかにしていた雄洋さんが、恋を始めたら……加速して止まらない。今夜も、眠れない夜は続く。
(おしまい)
専門学校から駅へ向かう道で、クラクションを二度鳴らされて、驚いて振り返った。
真っ赤なスポーツカー。雄洋さんが窓から顔を出すと、乗るように促した。
「迎えに来てくれたんですね! ありがとうございます」
うれしくて声を弾ませると、なぜだか苦笑いをしていた。
「どうかしましたか?」
「ん、いや……。郁美が気になって」
「大丈夫ですよ? 授業中、いねむりなんてしませんから」
シートベルトを締めながら、雄洋さんの顔を覗き込むようにして言った。
「いねむりの心配より、郁美が他の男に誘惑されてへんか、心配」
にらみつけるような視線を私に向けた。雄洋さんの過保護のような愛を感じると、思わず笑ってしまった。
「大丈夫です。私には、雄洋さんしかいません」
はっきりと気持ちを伝えると、優しいキスをして、車を発進させた。
「今夜、帰さんから」
忙しくて、恋をおろそかにしていた雄洋さんが、恋を始めたら……加速して止まらない。今夜も、眠れない夜は続く。
(おしまい)