わたし、結婚するんですか?
わたし、結婚するんですか?
なんの夢を見ていたのかわからない。
ちょっぴり泣きそうになって目を覚ますと、ぼんやりとした視界の中、誰かが自分を覗き込んでいるのが見えた。
「大丈夫か? 洸(こう)」
……誰だっけ?
見たな、この顔、と洸は思った。
よく見る顔だ。
鼻筋の通った、男なのに色白の顔。
整い過ぎていて面白みがないな、といつも思ってた。
……なんでこの顔が、こんな間近に?
そう思いながら、洸は寝たまま、辺りに視線を巡らせる。
見たこともない部屋だ。
ロッカーがたくさんある。
そして、洸の身体は、公民館とかによくあるような、合成皮革の茶色いソファの上にあった。
「此処、何処ですかっ?」
と叫び声を上げながら、いきなり起き上がった洸は男と額で激突してしまった。
「考えて起きろーっ」
と怒鳴る男に、洸は思わず、
「課長が避けないからじゃないですかっ」
と怒鳴り返していた。
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