わたし、結婚するんですか?
 あのー、もしかしてなんだけどっ。

 記憶にない前回も、こうして手首をガッチリつかまれていたから、逃げられなかっただけなんじゃないですかねー? と思っていると、

「お疲れ様ー」
とみんながドアを開けて入ってきた。

 葉山の手が緩んだので、慌てて振りほどくと、何事もなかったかのように、ガラスコップに水を汲む。

「はい、葉山」
とまるで彼がそれを取りに来たかのように渡すと、渋い顔をしながらも、

「……おう」
と言って、受け取っていた。

 あとは、みんなの騒がしい話に流される。





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