わたし、結婚するんですか?
 



 そのまま遥久は、洸と一緒にマンションの入り口までついて来た。

 だが、そこで、ピタリと足を止める。

「よし、今日はカレーにしよう!」
と唐突に言い出した。

 ……どうでもいいんですけど。

 毎日、当然のようにやってきますね、課長、と洸は思っていた。

 まあ、これから結婚すると言うのなら、こういうのが日常で、当然のことなのだろうが。

「お前もまだ食べてないんだろ?」
と遥久は確認するように訊いてくる。

「お前の家に材料はあるか?」

「あ、えーと。
 あるようなないようなですね」
と言うと、

「まあ、どんなカレーを作るかによるよな」

 そう言ったあとで、
「よし、今日は早く帰れたことだし。
 究極のカレーを作ろう」
と宣言してきた。

 そんな遥久の後ろで、ぼそりと、
「でも、インスタントの方が美味しかったりして」
と言って、振り返った遥久に頬をひねられる。
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