わたし、結婚するんですか?
案の定、凝り性だな、と買ってきていたオモチャでチャトランと遊びながら、洸は、キッチンに立つ遥久の背中を見ていた。
遥久はスパイスから調合しているようだった。
まあ、もともとカレー粉なんてものはなくて、それぞれの家でスパイスから作っていたらしいからな。
だが、此処は日本だが、と思いながら、
「手伝いましょうか」
と言ってみたのだが、もれなく、
「いや、邪魔するな」
と言われてしまう。
待て待て待て。
何故、私の腕前も見ずに、邪魔だと決めつけるのですか、と思ったのだが。
彼の言う通り、恋人同士だったのなら、腕前は既にご存知の上で、そう言っているのだろう。
不愉快なり……。
しかし、チャトランよ、と洸は猫を見る。
私が買ってきた動くネズミより、スーパー帰りに道端で摘んできた猫じゃらしの方でよく遊ぶのは何故なのだ……。