わたし、結婚するんですか？

　床に、猫じゃらしを打ち付けると、チャトランは喜んでそれを捕まえようと、短い足を伸ばすが、捕まえられず、転げ回っている。

　気がつくと、洸の、パンダの絵のついた赤いエプロンを着た遥久がこちらを振り返っていた。

「なんで、マンチカンにしたかわかるか」

　唐突にそう訊いてくる。

　は？　と思っていると、遥久は、
「お前に似てるからだ」
と言って、台拭きを投げてきた。

　テーブルを拭けというのだろう。

　えっ、私、こんなに可愛いですかっ？　と自分が手を放した猫じゃらしを両足でつかみ、勝ち誇ったようにカジカジしているチャトランを見て、洸は思った。

　だが、

　……いや、どうも、似ているところは、そこではない気がする、と普段のひどい扱いを思い出す。

　あれこれ考えながらも、洸は素直に台を拭いた。