わたし、結婚するんですか?
 そこで、遥久は立ち上がり、
「俺も探してやろう」
と言ってきた。

「えっ? いいですっ」
と慌てて言うと、なんだ? と遥久は冷ややかな目でこちらを見てくる。

「なにか俺に見られたらまずいものでもあるのか。
 さては、浮気の証拠だな」
と言ってきた。

「……いや、浮気とか、そんな小器用なことが、私に出来ると思ってるんですか」
と言ったとき、なんだかまた心臓が痛くなってきた。

 うーん、と思っている間に、遥久は勝手にゴミ箱を覗いたり、壁際の小さな棚を眺めたりし始める。

「あ、ちょっとっ」

 待ってください、と言おうとしたとき、遥久は、いきなり、そこにあった小さなアルバムをめくり出した。

「あーっ。
 それっ」

 この間、結婚した、中学校のときの友達と撮った写真だ。

 披露宴で使うのにいい写真はないかと言うので、実家から持ってきていたのだ。

「やめてください。
 見ないでーっ」
と遥久の腕にしがみつく。
< 119 / 368 >

この作品をシェア

pagetop