わたし、結婚するんですか?
「なんでだ。
 可愛いじゃないか」
と言う遥久は、自分がなにを嫌がっているのかわかっているようだった。

 特に好きでもないのに、友達に付き合ってちょっとだけ入っていたバスケ部のせいで、髪を短くしていたのだが。

 髪質のせいか、変なマッシュルームカットみたいになってしまい、究極似合わなかったのだ。

「闇に葬ってくださいーっ」
と洸は叫ぶ。

 この頃の写真は、みな、人んち巡って焼いて歩きたいくらいの黒歴史だ。

「いいじゃないか。
 ぴよこちゃんみたいで」
と慰めなのか、本当にそういうのがいいのか、遥久は写真を見ながら言ってくる。

「今も面影残ってるぞ」
と言われ、

「そりゃ、顔は変わってませんからっ」
と洸はその小さなアルバムを取り返そうとしたが、ひょい、と遥久は高くそれを持ち上げる。

 大きな遥久にそうされると、もうまるで届かない。

 洸が手を伸ばして、ぴょんぴょん飛んでいると、遥久が噴き出した。
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