わたし、結婚するんですか?
 洸に向かい、アルバムを投げてくる。

 おっと、っとそれを受け止めると、遥久は笑って言ってきた。

「なんで、マンチカンにしたかわかるか。
 お前と似てるからだ」

 そうさっきのセリフを繰り返す。

 遥久は、アルバムをつかんでいる洸の両の手首をつかみ、

「知ってるか?
 マンチカンは足が短すぎて、猫パンチが敵に届かないんだ」

 お前みたいだろ、と笑って、軽くキスしてきた。

 本当に恋人同士が日常、じゃれ合うみたいに。

 遥久はそのまま、ソファに戻り、また本を読み始めてしまう。

 チャトランはもうキャットタワーのてっぺんに登り、目を閉じていた。

 洸はスケジュール帳を探していたことも忘れ、遥久を見つめる。

 こんな人が私の恋人なわけはない、と思っていた。

 でも、今は少し思っている。

 もし、この人が私の恋人でなかったら……。

 洸? と遥久がこちらに気づき、顔を上げた。
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