わたし、結婚するんですか?
「どうした?
 かまって欲しいのか」
と笑う。

「い、いえ。
 スケジュール帳、結局、ないな、と思って」

「お前のことだ。
 ごみ溜めみたいになっている引き出しの中にでも埋もれてるんだろ」

 俺はもう諦めた、と言い出す。

「いや……見もしないで、何故、ごみ溜めとわかるのですか」
と言うと、遥久は立ち上がり、

「じゃあ、本当に見てやろう」
と棚の引き出しのところまで行こうとする。

「いやーっ。
 嘘ですっ、嘘っ。

 あっ、そうだっ。
 この間もらったクッキーがあったんでしたっ」

 ぜひ、お召し上がりくださいっ、と叫んで慌てて、キッチンにクッキーを取りに行った。






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