わたし、結婚するんですか?
 緊迫感あふれる厳しい先生の授業で、誰か騒いで混ぜっ返してくれないかなーと思っている生徒のような気持ちで、意味もなく、鞄を開けたり閉めたり、もぞもぞしていると、
「なにしてるんだ。
 落ち着かない奴だな」
と言われてしまった。

「ああっ。
 ええっとっ。

 飴ないかなっと思いまして」

「……食べたいのか」

「食べたくないですっ。
 課長に食べさせようかとっ」

 無理やり口に突っ込むくらいの勢いで言ってしまい、何故だ……という顔をされる。

「……すみません。
 助手席落ち着かなくて手持ち無沙汰だったので。
 なにか会話をと思いまして」
と白状すると、遥久は少し考え、

「そういえば、以前、友人が――」
と語り出した。

 それを聞いた洸は話の内容より、違うことが気になっていた。
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