わたし、結婚するんですか?
「ともかく――」
と言いかけたとき、誰かがこちらを見ているのに気がついた。

 顔を上げ、上を見たが、人影はない。

 遥久ではないか、と思う。

 ぞくっとするような感覚も伝わって来ないし、第一、遥久なら逃げもせずに、相手が社長だろうと、堂々と喧嘩を売ってくるだろうから。

 ……それはそれで困った人だな、と思いながら、
「頼むよ~」
と言いながら、手を握る従兄を見上げた。







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