わたし、結婚するんですか?
 そんなことを思っていると、遥久は、

「だが、まあ、社長を威嚇したのは、それでというわけでもない」
と言い出した。

「お前の従兄ということは、幼い頃のお前のあられもない姿を見てるんだろうなー、とか妄想していたら、腹が立っただけだ」

 ……はは、なに言ってんだ、この人は、と苦笑いした洸が、

「一緒にお風呂入ってたのなんて、せいぜい小学生までですよー」
と言うと、

「……なんだって?」
と遥久は訊き返してきた。

「小学四、五年生までですよー」
と笑って付け足すと、

「洸」
と遥久は笑顔を作り、すぐ側にあった棚の中のダンボールから、金槌を出してきた。

「ちょっと社長室まで行ってくる」

「子どものときの話ですってばーっ!」

「それ、お前は子どもでも、向こうは子どもじゃなかっただろうがっ」
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