わたし、結婚するんですか?
「いや、だから、外で遊んだあとの子どもたちをお風呂に入れてくれてたんですよーっ。
 泡まみれにされて、大変そうでしたよっ」
と本当に出て行こうとする遥久の腕をつかんで、洸は言う。

 洸にはわかっていた。

 この男はやる。

 常に本気の人だからだ。

 それがどんなロクでもない発想に基づくことでも。

 そう思いながら、既に戦闘態勢な感じの遥久の手にある金槌を見た。

「課長、ほんとに私と結婚する気あるんですかっ。

 あの人、親戚になるんですよっ。
 仲良くやってくださいっ」
と言うと、

「……そうだな。
 不本意だが、正月などに顔を合わせることになるんだろうな」
と呟き、ようやく思いとどまってくれた。

 最近の、ゴムで覆われたような奴ではなく、本物の金槌だ。

 本気で殺傷能力がありそうだ……。

「ところで、今日はなにか食べに行くか」
と今、章浩を撲殺しかけた金槌をダンボールに放りながら、遥久は言ってくる。
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