わたし、結婚するんですか?
「たまには外もいいだろう」
と遥久は言うが、いや、この間も中華食べに行ったような、と思っていた。

 単に自分が外食な気分なのだろう。

 なんだか遥久の要求ばかりが通っているな、と思い、反抗してみる。

「そういえば、課長はうちに来るばっかりですね。

 私、課長のおうちを知らないんですが」
と言いながら、

 そういえば、変だな、と思っていた。

 結婚しようかと言うのに、相手の家さえ知らないなんて。

 いや、私が忘れているだけなのかもしれないが。

 そんなことを思っていると、遥久は、

「……うちに来たいのか?」
と腕を組み、章浩さえも恐れさせる目で洸を見下ろし、言ってくる。
 
「いいぞ、来い。

 そうだな。
 そろそろ見せておいた方がいいようだ」

 洸はごくりと唾を飲み込んだ。

「後悔しても知らないぞ」
と言う遥久のセリフに、どんな恐ろしい秘密が課長の家に……っ、と青ざめる。
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